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清水 (1934), p.247
乞食の中に行われている賞罰である。
これは同時にこの社会の法律ともいうべきもので、ちょっと前にも話したように極刑は団体の平和を乱す裏切者を以ってしているが、また同時に姦通は死刑である。
前述 [ 夫婦] の知く合せものは離れものであると考えているので比較的夫婦生活は短いものであるが、それにしても現在の夫婦者がそうした関係を実行したときはついに両者を火あぶりの極刑に処する場合がある。
それだけ団体の法律は比較的厳守されている訳である。
さりとて個性の自由をあまりにも無視したような法律はない。
むしろ不文律のうちに自然と一つの法則が出来ている。
したがってこの社会は、社会道徳の観念がかえって発達しているようにも見受けられる一面がある。
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引用文献
清水精一 (1934) :『大地に生きる』
谷川健一[編]『日本民俗文化資料集成・1 サンカとマタギ』, 1989, pp.155-292.
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