Up ノスタルジア 作成: 2018-08-19
更新: 2018-08-19


    ひとの生活は,進化する。
    いまは以前と同じではない。

    この進化の主要な内容は,テクノロジーである。
    ひとはテクノロジーを絶えず進化させるという形で,己を進化させている。


    テクノロジーは,生活の効率化である。
    効率化を実現しているのは,規格化である。

    ひとは,この規格化に疎外される。
    そして,いまを疎外の時と見る。

    いまを疎外の時と見ると,以前が疎外の無かった時のように思えてくる。
    そして,以前を懐かしむ。

    「疎外の無かった以前」は,幻想である。
    ひとはいつの時代も,
      昔はおっとりしていて良かった
    と思うことになるのである。


    ひとが思う「昔は良かった」のうちに,
      昔のものは良質だった
    がある。
    この「昔のものは良質だった」は,錯覚というわけではない。

    テクノロジーの進化は,ひとの生活用具を変える。
    これまでの生活用具の生産者は,ひとの需要に合わせて生業の内容を変える。
    こうしてこれまでの技術は,廃れていく。
    昔の技術をいまも続けているものを見れば,それは昔より確実に劣っていることになる。

    昔のものは良質だった」は,いまは需要の無い昔のものを懐かしんでいる(てい)である。

     例 : 昔の学者は偉かった」は,いまは需要の無い昔の学者スタイルを懐かしんでいる体である。

    よくよく吟味すべし。