「分布」は,つぎのような形で,ひとの主題になる:
- コイン2枚を投げたときの,表裏の分布:
表が0枚 ── 場合の数=1
表が1枚 ── 場合の数=2
表が2枚 ── 場合の数=1
- 白球赤玉それぞれ4個を箱に入れて振ったときの,白球赤玉の分布:
箱の左半分に白球が0個 ── 場合の数 = 1
箱の左半分に白球が1個 ── 場合の数 = 16
箱の左半分に白球が2個 ── 場合の数 = 36
箱の左半分に白球が3個 ── 場合の数 = 16
箱の左半分に白球が4個 ── 場合の数 = 1
このときの「分布」は,類概念である。
例えば,「箱の左半分に白球が1個 ── 場合の数 = 16」は,16個の分布の類。
では,類別する前の個々の分布は,どう表現したらよいか。
つぎのようにする:
- コインの場合
「コイン A, B がそれぞれ表か裏の値をとる」と見て,集合 X= {A, B} から集合 Y= {表, 裏} への関数
\[ s : X \longrightarrow Y \]
が,個々に分布。
- 白球赤玉の場合
「白球 A, B, C, D, 赤玉 E, F, G, H が,それぞれ左か右の値をとり,かつ左の値をとる玉は4個」と見て,集合 X= {A, B, C, D, E, F, G, H} から集合 Y= {左, 右} への関数
\[ s : X \longrightarrow Y \ , \ \ \ \ | s^{-1}(左) | = 4 \]
が,個々に分布。
分布としての関数
\[ s : X \longrightarrow Y \]
に対し,x ∈ X に対する s(x) を,「xのスピン」と表現する。
コインの例では,スピンは1次元で, 表と裏の2値。
白球赤玉の例では,スピンは1次元で, 左と右の2値。
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