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Up rotation の定義 作成: 2017-11-14
更新: 2017-11-21


    力ベクトル場 F(x) に対し,「各 x における rotation」として,rotF(x) を定義する。

    rotF の大意は,つぎのようになる:
      「力ベクトル場 F(x) の中で物単位が輪を描いて一周するときの,
        仕事の損得」
    そして,この大意を厳密化していって,rotF の定義となる。

    rotF の概念は,わかりにくい。
    わかりにくいのは,つぎの二点による:
    1. ベクトル量であること
    2. <単位面積ベクトル>あたり量であること
      (一周の長さに依存するのではなく,一周で囲む面積に依存する)

    即ち,rotF は,つぎのように定義される:
    rotF=(FyzFzy,FzxFxz,FxyFyx)
    そして,つぎがこれの用い方になる: SrotFndS

    以下,この概念がつくられるロジックを見ていく。


    力ベクトル場 F(x) の中の微小面積 dS を考える:

    物単位が dS の縁を一周するときの仕事を,dW とする。
    そして「単位面積あたりの仕事」に dW を換算したものを,W とする。

    dS を,yz平面,zx平面,xy平面それぞれに射影する:
      dSx : yz平面への射影
      dSy : zx平面への射影
      dSz : xy平面への射影

    仕事 dWx,dWy,dWz をつぎのように定める:
      dWx : 物単位が dSx の縁を一周するときの仕事
      dWy : 物単位が dSy の縁を一周するときの仕事
      dWz : 物単位が dSz の縁を一周するときの仕事

    dWx,dWy,dWz をそれぞれ「単位面積あたりの仕事」に換算したものを,Wx,Wy,Wz とする。
    このとき,W はベクトル (Wx,Wy,Wz) の大きさと等しい。

    以下,(Wx,Wy,Wz) を求める。

    Wx の場合:
    はじめに,dSx が長方形の場合を考える:

    このとき,
      dWx=Fy(y,z)Δy  +Fz(y+Δy,z)Δz  Fy(y,z+Δz)Δy  Fy(y,z)Δz =(Fy(y,z)Fy(y,z+Δz))Δy(Fz(y,z)Fy(y+Δy,z))Δz (FyzΔz)Δy(FzyΔy)Δz =(FyzFzy)ΔyΔz =(FyzFzy)dSx

    dSx の一般形に対しては,つぎの区分求積を考える:

    区分した長方形の辺長を Δy1,Δz1 とし,これの一周の仕事を dWx1 とする。
    重なる辺で仕事が相殺されるので,つぎが成り立つ:
      dWxdWx1
    さらに,
      dWx1=(FyzFzy)Δy1Δz1=(FyzFzy)Δy1Δz1(FyzFzy)dSx
    結局,
      dWx=(FyzFzy)dSx

    dWx は面積 dSx あたりの仕事なので,
      Wx=dWxdSx=FyzFzy


    Wx の計算と同様に, Wy,Wz を計算する。
    結果は,つぎのようになる:
    (Wx,Wy,Wz)=(FyzFzy,FzxFxz,FxyFyx)
    この式の右辺を,rotF と表す:
    rotF=(FyzFzy,FzxFxz,FxyFyx)
    演算子記号 =(x,y,z) を用いれば,形式的に F=(Fx,Fy,Fz) の外積ということになる:
    rotF=×F