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Up rotE(x) 作成: 2017-11-14
更新: 2017-11-16


    rotation は,ベクトル場一般に適用される概念である。
    電磁気学はいろいろなベクトル場を考えることになり,rotation はその各ベクトル場に対し適用され得るものになる。

    ここでは,rotation の意味を,rotE の場合で説明する。


    rotE の大意は,つぎのようになる:
      「電場 E の中で単位電荷が輪を描いて一周するときの,
        ポテンシャルの損得」
    そして,この大意を厳密化していって,rotE の定義となる。

    rotation の概念は,わかりにくい。
    わかりにくいのは,つぎの二点による:
    1. ベクトル量であること
    2. <単位面積ベクトル>あたり量であること
        一周の長さに依存するのではなく,一周で囲む面積に依存する

    即ち,rotE は,つぎのように定義される:
    rotE=(EyzEzy,EzxExz,ExyEyx)
    そして,つぎがこれの用い方になる: SrotEndS
    以下,この概念がつくられるロジックを見ていく。


    電場 E(x) の中の微小面積 dS を考える:

    単位電荷が dS の縁を一周するときの仕事を,dW とする。
    そして「単位面積あたりの仕事」に dW を換算したものを,W とする。

    dS を,yz平面,zx平面,xy平面それぞれに射影する:
      dSx : yz平面への射影
      dSy : zx平面への射影
      dSz : xy平面への射影

    仕事 dWx,dWy,dWz をつぎのように定める:
      dWx : 単位電荷が dSx の縁を一周するときの仕事
      dWy : 単位電荷が dSy の縁を一周するときの仕事
      dWz : 単位電荷が dSz の縁を一周するときの仕事

    dWx,dWy,dWz をそれぞれ「単位面積あたりの仕事」に換算したものを,Wx,Wy,Wz とする。
    このとき,W はベクトル (Wx,Wy,Wz) の大きさと等しい。

    以下,(Wx,Wy,Wz) を求める。

    Wx の場合:
    はじめに,dSx が長方形の場合を考える:

    このとき,
      dWx=Ey(y,z)Δy  +Ez(y+Δy,z)Δz  Ey(y,z+Δz)Δy  Ey(y,z)Δz =(Ey(y,z)Ey(y,z+Δz))Δy(Ez(y,z)Ey(y+Δy,z))Δz (EyzΔz)Δy(EzyΔy)Δz =(EyzEzy)ΔyΔz =(EyzEzy)dSx

    dSx の一般形に対しては,つぎの区分求積を考える:

    区分した長方形の辺長を Δy1,Δz1 とし,これの一周の仕事を dWx1 とする。
    重なる辺で仕事が相殺されるので,つぎが成り立つ:
      dWxdWx1
    さらに,
      dWx1=(EyzEzy)Δy1Δz1=(EyzEzy)Δy1Δz1(EyzEzy)dSx
    結局,
      dWx=(EyzEzy)dSx

    dWx は面積 dSx あたりの仕事なので,
      Wx=dWxdSx=EyzEzy


    Wx の計算と同様に, Wy,Wz を計算する。
    結果は,つぎのようになる:
    (Wx,Wy,Wz)=(EyzEzy,EzxExz,ExyEyx)
    この式の右辺を,rotE と表す:
    rotE=(EyzEzy,EzxExz,ExyEyx)
    演算子記号 =(x,y,z) を用いれば,形式的に E=(Ex,Ey,Ez) との外積ということになる:
    rotE=×E

     註: ストークスの定理 Eds=rotEndS の右辺の面積分 rotEndS は,つぎが「rotEndS」の絵になる: