Up 日時計の形の理 作成: 2021-11-15
更新: 2021-11-15


    日時計の基本デザインは,<棒を立てる>である。
    棒の影の向きで時刻を示す。


    しかし棒は太さがあって,影が曖昧になる。
    だからといって棒を細くしたら,影がはっきりしなくなるし,強度も問題になる。

    というわけで,物の(へり)を使う。
    板を立て,影の境界で時刻を示すのである。


    つぎに,板の高さが問題になる。
    影が時刻目盛りリングに届くことが,必要である。
    そこで,年間最短の影がリングに届くように,高さを決める。
    且つ,ぎりぎりの高さを求める──日時計はコンパクトにしたい。


    年間最短の影は夏至の南中時の影である。
    そしてこのときの板の高さに対する影の長さの比は:
      地軸の傾き (公転面の法線と地軸のなす角度) をn,緯度をaとするとき,tan(a− n)。


    よって,板の高さは,時刻リングの半径の tan(π/2−(a− n)) 倍。

    板の高さが決まったので,続いて,板の<体裁>をどうするか。
    考え方は,「形をシンプルに保ちつつ,要らない部分を除く」。
    こうして,つぎの形に落ち着く:


    日時計はなんでこんな形なのか?」の疑問が,これで解けた。


    残るは,文字リングに時刻目盛を書く作業。
    しかし実は,時刻目盛りは定まらない。
    同時刻の影の向きが,年間で変化するのである。
    変化は,夏至と冬至が極になる。
    よって,時刻目盛りは,夏至と冬至の間をとって──例えば,秋分/春分の影の向きで──つくることになる。