Up | 「実質陶冶」 | 作成: 2013-06-11 更新: 2013-06-14 |
このとき,「実質陶冶」は「形式陶冶」の反対語である。 「実質陶冶」の意味は,「形式陶冶の反対」である。 このような「実質陶冶」のことばが出てくるのは,二つの場合である。 一つは,「形式陶冶」にアンチテーゼが立てられる場合である。 アンチテーゼの表現は「形式陶冶の反対」であり,それは「実質陶冶」である。 もう一つは,<数学を教える>にアンチテーゼが立てられる場合である。 このときのアンチテーゼは,「形式陶冶」である。 翻って,<数学を教える>は「形式陶冶の反対」になる──「実質陶冶」になる。
ところで,「形式」と「実質」は,本来,相補概念である。 対立概念ではない。 「形式陶冶-対-実質陶冶」の対立図式が立てられるのは,状況が<振り子が一方の極に大きく振れている>の場合である。 「形式陶冶-対-実質陶冶」の対立図式は,この状況に反発して,いまの極から反対の極に飛躍しようとする様である。 ──実際のところ,問題状況の構造化に失敗している様である。
極端になるとき,別の極への揺り戻しの力が起こる。 振り子運動は一つではなく,いろいろある。 学校数学は,いろいろな振り子運動の複合である。 そして,「形式陶冶-対-実質陶冶」は,このいろいろな振り子運動のうちの一つである。 |