Up リーマン多様体論における「座標変換」の内容 作成: 2018-01-31
更新: 2018-03-09


    リーマン多様体の地図 \(\phi_P\) は,つぎの二つを合わせて使う:
    1. \( P \) から観える世界を写した地図
    2. 別の地図の読み込み

    a は,直線座標──正規直交座標 (デカルト座標) ──に順う。
    b は,結果的に,曲線座標になる。


地図 \(\phi_P\) を地図 \(\phi_P'\) から読み込む:




読み込まれた \(\phi_P\) のデカルト座標が曲線座標になる:




      (1)   デカルト座標の基底を, \[ {\bf E} = \{ {\bf E}_1,\, \cdots,\, {\bf E}_n \} \] とする。
      この基底に対する座標系を,\(X^i\) 座標系と称する。
      (2)   曲線座標 (上図の赤色のメッシュ) を,\(x^i\) 座標系と呼ぶ。
      (3)   曲線座標の基底──局所直線基底──を, \[ {\bf e} = \{ {\bf e}_1,\, \cdots,\, {\bf e}_n \} \] で表し,基底 \({\bf E}\) に対する各 \( {\bf e}_i \) の座標を \[ ( e_i^1,\, \cdots,\, e_i^n ) \] とする──即ち, \[ {\bf e}_i = e_i^{\ 1}\, {\bf E}_1 + \cdots + e_i^{\ n}\, {\bf E}_n \quad ( i = 1, \cdots, n ) \]


      リーマン多様体で主題になる「座標変換」は,以上の基底の間の座標変換であり,これに限る
      「リーマン多様体/幾何学」のテクストには,きまって極座標,球面座標,円筒座標の類が出てくるが,これはつぎの二つが混在している状態である:
        1. リーマン多様体の理論
        2. リーマン多様体のモデル論
      学習者は,これにも躓く。
      「この幾何学的対象がリーマン多様体のモデルになるのは,どんな趣旨によってか」の説明が無くて導入されるからである。

      テクストの書き手も,極座標等を勘違いして取り上げているふしがある。
      局所直交座標と極座標の変換のようなのを「リーマン多様体の座標変換」にしているからである。