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ユークリッド計量，ユークリッド空間

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　二つの基底 ｛u1,････,un｝， ｛v1,････,vn｝ をともに“正規直交”として定める計量Qに対し，条件 Σ{ui_×ξi | i } ＝ Σ{vi_×ηi | i } は Σ{ξi² | i } ＝ Σ{ηi² | i } を導く^(註)。 したがって，任意の計量Qは，これに関して正規直交である任意の基底 ｛u1,････,un｝ に対して，

(*) Q(Σ{ui_×ξi | i } ) ＝ Σ{ξi² | i }

で与えられます。
　特に，正規直交基底｛u1,････,un｝に対して (*) で定義されるわたしたちの“標準的な計量”Qは，正規直交基底｛u1,････,un｝に依存していない。
　ここで，

“基底｛u1,････,un｝は計量Qに関して正規直交である”

の言い換えとして，

“計量Qは基底｛u1,････,un｝に関してユークリッド計量である”

の言い回しを導入します。
　ユークリッド計量は実践的知識であり，数学の中でこれを特権化することはできない。実際，任意の正値計量形式Qに対し，Qをユークリッド計量とするような基底──即ち，Qに関して正規直交である基底──を構成することができる (Schmidt の直交化法)。そこで，“ユークリッド計量線型空間”の概念を，単に

“計量が或る基底に関するユークリッド計量の形で導入されている計量線型空間”

の意味で導入します。
　さらに，ユークリッド計量線型空間を随伴するアフィン空間を，ユークリッド空間と呼ぶ。
　わたしたちは,“(n 次元)ユークリッド空間”を,《“現空間”の数学的定式化》というわたしたちの主題のここでのゴールということにする。



(註)

いま， vi＝Σ{uj×αji | j }　(i＝1,････,n) とすると， |vi|＝1，vivj＝0 (i≠j) より， Σ{ αkiαkj＝δij | k }　(i,j＝1,････,n) (δijは“クロネッカのデルタ")。さらに Σ{ ui×ξi | i } ＝ Σ{ vi×ηi | i } ＝ Σ{ (Σ{ uj×αji | j })×ηi | i } ＝ Σ{ ui×(Σ{ αijηj | j }) | i } から ξi＝Σ{ αijηj | i }　(i＝1,････,n) したがって， Σ{ ξi2 | i } ＝ Σ{ (Σ{ αijηj | j })2 | i } ＝Σ{ (Σ{ αijαikηjηk | j, k }) | i } ＝Σ{ (Σ{ αijαik | i })ηjηk) | j, k } ＝Σ{ δjkηjηk | j, k } ＝Σ{ ηi2 | i }．