Up 弧度法,角度の単位「ラジアン」  


    「角度」の意味を言い表そうとすると,うまく言えません。 「角度」の概念・とらえには,ひどく曖昧なところがあるからです。 わたしたちは,《ことばにならないところを無意識に感覚で補って,「角度」の意味をわかったつもりになっている》わけです。

    そこで,数学は,「角度」の意味から曖昧を除くために,「角度」を操作的に定義します。 それが,「弧度法」というものです。

    「弧度法」は,<円と弧を使って角度を定義する>アイデアというよりは,<角度を使わなくて済むようにする>アイデアです。 「弧度法」の本質は,<角度を使わなくて済むようにする>です。


    「弧度法」は,角度を示すのに,1つの円を描き,つぎの絵をつくります:
    弧PQの長さで「角度」という量を示唆しているわけです。

    わたしたちの気持としては,つぎの青線で示されるものを「角度」としたいわけですが,この曖昧な青線を退けるところに「弧度法」の意味があるわけです。

    つぎに,このように導入した量の単位を,弧PQの長さが半径の長さであるものにします:
    そしてこの量を「ラジアン」と名付けます。


    学校数学では,角度の単位として,実用的な「度」と数学的な「ラジアン(radian)」が主題になります。

    度とラジアンの関係は,つぎのようになります:
πラジアン = 180度 (= 平角の大きさ)
    (弧PQの長さのπ倍が半円周の長さ。よって,ラジアンのπ倍は平角の大きさ。)