Up <読んでわからない>の理由 作成: 2018-02-26
更新: 2018-02-26


    「テンソル」の学習では,テクスト事情が学習者を混迷させる最大要因になる。
    テクスト事情──それは,学習テクストの名に値するものが存在しないということである。

    学習者へのアドバイスでは,これをいちばんに言うことになる。
    なぜなら,彼らは自分の学習困難をテクストのせいにすることを知らない者たちだからである。


    学習テクストのダメの規準は,<読んでわからない>である。
    即ち,読んでわからないのは,もともとダメなテクストということである。
    ひとは「読んでわからないのは,内容が難しいから」と思いがちだが,それは間違いである。

    読んでわからない「テンソル」テクストは,書き手の問題である。
    読者に問題はない。
    読者は,「テンソル」のテクストを読む能力をもつ者だからである。 ──「テンソル」のテクストを読む能力の無い者は,「テンソル」のテクストを読もうとは端から思わない者である。

    読んでわからないテクストの書き手は,つぎの2タイプに別れる:
      A. 自分がわかっていないことを書く
      B. 読んでわかるテクストを書けない


    A. 自分がわかっていないことを書く
    これは,さらにつぎの3タイプに分かれる:
      a1. わかっているつもり
      a2. わかっているふりをしたい
      a3. 試行──いろいろ書いているうちにわかってくることを期す


    B. 読んでわかるテクストを書けない
    これは,さらにつぎの2タイプに分けられる:
      b1.「読んでわかるテクスト」の概念を,(はな)から持たない
      b2.「読んでわかるテクスト」の概念は持っているが,書けない

    数学者は,ごく少数の例外を除いて,このBタイプになる。
    さらに,だいたいが b1 タイプである。
    数学の授業はきまって学習者をドロップアウトさせる授業になるが,それは数学者がこういうタイプの者だからである。
    彼らは,授業不成立の原因を学習者に帰す者である。

    ただし,彼らを弁護して言うならば,これは「分野的個性」というものである。
    ──能力は,トレードオフ (「あちらを立てればこちらが立たず」) である!