Up 「ホモロジー群の計算」? 作成: 2023-10-05
更新: 2023-10-05


    「ホモロジー群」のテクストには,「ホモロジー群の計算」のことばが出てくる。
    「ホモロジー群の計算」は,何をするとこれをしたことになるのか?
    これが,学習者にはわからない。
    そのテクストが,何をすることが「ホモロジー群の計算」をしたことになるのかを,明示的に言ってくれないからである。

    「ホモロジー群の計算」は,ホモロジー加群の学習の実践的ゴールに位置づく。
    よってこのことばの意味を不明にした学習は,自分がどこに進もうとしているのかがわからない学習になる。

    そこで,これの意味をここで予め記しておくことにする。
    これから出てくる内容を記すわけなので,内容がわからなくてけっこうである。
    これをすることが「ホモロジー群の計算」をしたことになるのだ,を受け取ってくれればよい。


    ホモロジー加群が導かれるコンテクストは,つぎのものである:
      \[ 0 \rightarrow C_2 \xrightarrow{ \partial_2 } C_1 \xrightarrow{ \partial_1 } C_0 \rightarrow 0 \]

    \( C_2, C_1, C_0 \) は \( \mathbb{Z} \) 加群。
    \( \partial_2, \partial_1 \) は準同型写像で,つぎが条件:
      \[ Im( \partial_2 ) \subset Ker( \partial_1 ) \]
    ここで,つぎの加群 \( H_1 \) を (1次) ホモロジー加群と定義する:
      \[ H_1 = Ker( \partial_1 )/Im( \partial_2 ) \]

    「ホモロジー群の計算」とは,\( Ker( \partial_1 ), Im( \partial_2 ) \) の次元を求め,\( H_1 \) を \( \approx 0,\ \approx \mathbb{Z},\ \approx \mathbb{Z}^2 \) のような形に表すことである。