Up 本テクストの趣旨:「微積分」の意味を知る 作成: 2010-10-24
更新: 2010-10-24


    「微積分」の学習のゴールは,「微積分」の意味を知り,微積分を使えるようになることである。
    ところで,「微積分」の学習の問題は,学習者が「微積分」の意味を知らないままでいるということである。
    「微積分」の意味を知らないままでいる学習者は,ではいったい何を「学習」としてやっているのか?
    与えられた計算問題の計算をやっているのである。

    意味を知らない一方で計算はできるということは,可能なのか?
    可能なのである。
    実際,小学算数に出てくる分数の割り算は,この調子で過ごしてきたはずである。

    しかし,意味を知らないままでやっていくことには,限界がある。
    意味を知らないままの「微積分」の学習は,早晩行き詰まる。


    学習者が「微積分」の意味を知らないままでいるとは,意味をきちんと教えられたことがないということである。
    授業者が「微積分」の意味をきちんと教えないのは,
      「微積分」の意味の指導というものがあることを,知らない
      この指導のあることに,気づいていない
    ということである。

    授業者は,どうしてこんなふうなのか?
    つぎの二つの場合がある:
    1. 自分自身,「微積分」の意味を改めて考えたことがない
    2. 自分は「微積分」の意味を指導していると思っている

    Aのケースはあり得ないようだが,こんなふうで高校数学の教員免許がとれてしまうというの現状である。 よって,「高校の数学教員ではこれがむしろ大勢」というふうに思っていた方がよい。

    Bは,数学は知っているが教育は知らないという場合である。
    教える相手を自分のコピーと定めてしまうので,<話した>を<相手に伝わった>とイコールにしてしまうのである。 一を話したに過ぎないのに,十を教えたと思ってしまう。
    実際,これは大学の専門数学の教員にありがちのこととなる。

    そこで,「微積分」の意味の学習テクストを作成することにした。
    そのテクストがこれである。