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仕事の様相としての“遊び”



ここでは,「遊び」を教育の主題にするために,「遊び」を「仕事」と対立するものとしてではなく,つぎの図式で考えることにしましょう:

対立するのは〈仕事〉の二つの様相としての〈遊び〉と〈苦役〉であり,「仕事」と「遊び」ではありません。

特に,ここで言う「遊び」は,「苦役を紛らわすために遊びを導入する」のように使うことばではありません。「手法として使える何か」のように「遊び」を考えるのではなく,

「仕事が好ましいものになっているときのその仕事は,遊びである」

というように考えるわけです。

このとき,〈遊び〉が〈苦役〉を徐々に凌駕していくようにすることが,わたしたちの課題ということになります。即ち,仕事──いま問題にしているところでは,数学の学習──そのものを遊び化することが課題です(註)。指導の手法として遊びの導入を考えるのではなく,学習が遊びの様相で実現されるようにすることが課題です。

(註) 「エジュテインメント(edutainment)」という造語があります。
「教育(education)」と「娯楽(entertainment)」を掛けたものですが,ここで述べている意味で,この造語は正鵠を射ています。