Up 「サバクの気候」というものは無い 作成: 2024-05-09
更新: 2024-05-09


    ひとが想うサバクは, 「炎天下の砂漠」である。
    そしてこのイメージから,ひとは「乾いて暑い」を「サバクの気候」と定める。

    実際,メディアはそのような映像を流す。
    「砂漠」を求め,「乾いて暑い」を求める。
    それが,視聴者にサバクを伝えることだと思っているからである。

      こうなるのは,ひとは固定した幻想でもたれ合うものだからである。
      ひとが固定した幻想でもたれ合うのは,社会生活の中で有形無形に同調を教育・訓練されてきたからである。


    サバクとは,土の無い──あっても僅かな──広域のことである。
    岩石だけの広域は,サバクである。
    建物・舗装で土を被覆する人工都市は,サバクである。


    中国の黄土高地は,猛スピードでサバク化が進行しているところである。
    一方この地の気候は,日本と同じ「中緯度圏の気候」と位置づけられるものである:
      春 (冬から夏への移行期) と秋 (夏から冬への移行期) に雨が多く,
      相対的に夏と冬が乾季

    しかし黄土の露地の場合,雨は表土を流失させる方に働く (とりわけ夏の集中豪雨)。
    ──中国の言い回しで,「水土流失」。


    サバク化には,気象に作用して気象を変化させる面がある。
    しかし気象のその変化は,特定の「サバクの気候」に向かっているのではない。
    「サバクの気候」というものは無い。