Up | 「系統」の数理 | 作成: 2019-02-15 更新: 2019-02-15 |
このとき,「系統」のことばは,意味がぼかされて用いられる。 意味を厳格にすると,政略的に使えないからである。 政略はプラグマティックスに属し,「系統」の意味はサイエンスに属する。 両者は,対立する関係にある。 "アイヌ"イデオロギーが「アイヌ民族」を唱えるのは,この類である。 「アイヌ民族」は,「系統」の科学的意味──科学的定義──に照らしてナンセンスである。 「アイヌ学者」は,<「系統」の科学的定義>の考えがないために,"アイヌ"イデオロギーに騙されてしまう。 「アイヌ民族」のことばを使うことが<今日的>だと思い,「アイヌ民族」を進んで使う者になる。 同様のことが,マスコミで成る。 学者とマスコミが騙されるということは,すべてが「アイヌ民族」のことばに騙されるということである。 かくして,現前のようになる。 ここでは,この流れに抗う趣で,「系統」の科学的定義を示しておく。 ──この定義は,厳格である。 過去・現在のすべてのヒト個体を考える。 個体xに,xの出生時刻 fx と死亡時刻 gx の対 ( fx, gx) を対応させる。 xが現在の個体の場合は,現在の時刻を gx とする。 時間軸を立て,xをつぎのように図表示する (横軸は不定としておく(註)): 性別を込めて表すときは,「女 : 赤,男 : 青」とする : 個体xが個体y,zをそれぞれ母,父として産まれたことを,つぎのように表す: (母とつなぐ横線は赤,父とつなぐ横線は青) これをすべての個体に対して行うと,<全個体系統>図が得られる。 この図は,途方もないものになる。 「アイヌ民族」を主張することは,この途方もない絵図の中に「アイヌ民族」のパターンを特定できると主張することである。 系統図は,時空間の中のネットワーク模様になる。 ネットワークは,《一部を取り出そうとして持ち上げると,それに連なって周りがつぎつぎと持ち上がる》というものである。 また,《一部を特定部位として切り出そうとすると,切るべき箇所がわからなくなる》というものである。 「アイヌ民族」を主張する者は,系統がネットワーク構造をなすことを知らない者である。 |